偽物の恋をきみにあげる【完】
それにしても、間に合ってよかった。

もうそろそろ、身体を起こして文字を打つことすら、できなくなるかもしれない。

最後まで書けて、本当によかった。

あとはデータを送信して、製本してもらって、それを月奈に届けてもらうだけだ。

大丈夫、そこは兄貴がちゃんとやってくれる。

あ、表紙はどうしよっか。

……旅行の写真でもテキトーに使っとこう。

できるだけ月奈が可愛く写ってるやつ選ぶか。

じゃないと、アイツ絶対怒るからな。


これは月奈へのラブレター。

そして、月奈とベビーの為だけに書いた、2人の為の物語。

歪で切なくて、でも幸せな、偽物の恋の物語。


窓に目をやると、今日も冴え冴えとした白い月が、まんまるく輝いていた。

やっぱり、きみの笑顔みたいだ。



……明日も、あさっても、会えるといいなあ。


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