偽物の恋をきみにあげる【完】
──さらに1時間後。

俺達はラブホテルにいた。

仕方なくホテルに来たけれど、あくまで寝に来ただけ。

いや、本当に。

今後はともかく、とりあえず酒の勢いでセックスするなんてことはしたくなかった。

月奈は俺にとって、特別な子だから。


……なのに、なんでこうなった。


「大河ぁ」

ベッドの上、月奈が俺を見上げる。

「ん?」

「もっかい、ちゅーしよ?」

俺は答える代わりに、月奈の唇にキスを落とす。

月奈が悪い。

添い寝してやろう、くらいに思っていたのに、月奈が俺に抱きついてチュッチュチュッチュするからいけない。

食べたい。

可愛くて可愛くて、食べちゃいたい。

「……んんっ」

少しだけ深めに口付けたら、月奈が甘い声を漏らした。

なにそのエロい声。

ダメだ、もう今すぐ食べたい。

「ふふふ。食べる?」

俺の心を見透かしたように、月奈が色っぽく微笑んだ。

──もう無理だ、食べよう。
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