偽物の恋をきみにあげる【完】
「大河は、私のこと好きー?」
「はいはい好きですよー」
「ほんと!?」
棒読みで答えたのに、月奈はとても嬉しそうに顔を綻ばせた。
可愛い。
顔が近過ぎて思わずキスしたくなったけれど、さすがにぐっと堪えた。
「うん、好き好き。だから言うこと聞いて。帰ろ?」
「やだー」
「……明日仕事だろ? 寝なきゃ辛いじゃん?」
「じゃあ大河、一緒に寝よー?」
頼む……誰か助けて。
「……俺が一緒なら帰るの?」
「うん!」
「……わかった。じゃタクシー乗ろ?」
深い溜め息をつきつつ言えば、月奈はコクリと頷いて、俺にまわした手を引っ込めた。
俺はやっとベンチから腰を上げた。
月奈も立ち上がったものの、立つなりフラついたから、慌てて抱きとめる。
細くて小さい月奈の肩。
コイツのふわふわの髪の毛からは、やたらいい匂いがして、心も身体もざわついた。
いっそ酒臭かったらよかったのに。
……どうしよう。
本当に一緒に寝るの?
「はいはい好きですよー」
「ほんと!?」
棒読みで答えたのに、月奈はとても嬉しそうに顔を綻ばせた。
可愛い。
顔が近過ぎて思わずキスしたくなったけれど、さすがにぐっと堪えた。
「うん、好き好き。だから言うこと聞いて。帰ろ?」
「やだー」
「……明日仕事だろ? 寝なきゃ辛いじゃん?」
「じゃあ大河、一緒に寝よー?」
頼む……誰か助けて。
「……俺が一緒なら帰るの?」
「うん!」
「……わかった。じゃタクシー乗ろ?」
深い溜め息をつきつつ言えば、月奈はコクリと頷いて、俺にまわした手を引っ込めた。
俺はやっとベンチから腰を上げた。
月奈も立ち上がったものの、立つなりフラついたから、慌てて抱きとめる。
細くて小さい月奈の肩。
コイツのふわふわの髪の毛からは、やたらいい匂いがして、心も身体もざわついた。
いっそ酒臭かったらよかったのに。
……どうしよう。
本当に一緒に寝るの?