無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「へー、ティアナって言うんだ?
フライハイト出身なら俺のことは知ってる?」

ユアンの言葉にティアナは必死に頷く。
中庭から離れアレクシスの執務室に移動しナタリーの淹れた紅茶を飲みながら話ていると、自然と内容はティアナのことになっていった。

「しかし、宰相はよく見つけたね。
完璧、アレクシスの理想通り」

ここに宰相がいたら、そうでしょう、執念ですよ!と胸を張っていただろう。
ユアンはまじまじとティアナを見つめると、アレクシスに視線を移した。

「ねぇ、ティアナと婚約したの?」

「いや、まだ候補者の段階だ」

「なら、まだ間に合うよね?」

「?……なにがだ?」

「ティアナ、俺に譲ってよ」

その言葉にティアナは目を丸くし、アレクシスは睨み付けるように目を細めるがユアンは気にせずに言葉を続ける。

「だって、アレクシスが言った条件の女性がいたら俺が婚約したいって言ってたでしょ?」

「確かに言っていたが……」

「だからいいじゃん、ティアナ譲って?」

一目見て可愛いなーって思ったし、問題ないでしょ?と問題大有りなことを言ってくるユアンにアレクシスは深く息をついた。
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