この恋の終わりは
「送ってくれて
ありがとうございました。」
駅まででいいと言ったけど、
結局アパートの前まで
送ってもらってしまった。
シートベルトを外して
車を降りようとすると
それよりも先に
小川さんがサッと助手席に回って
ドアを開け、手を差し出してくれた。
「あ、ありがとうございます…。」
さっきから
小川さんの行動1つ1つに
心臓が音を立てる。
私、変だ…。
そんな自分に気付かれたくなくて
足早に部屋へ戻ろうとすると
「待って。」
妙に落ち着いたトーンの声が
耳元で聞こえたと同時に
体は温かい体温に包まれた。
抱きしめられたと気付くのに
時間はかからなかった。