スイート ジャッジメント 番外編
「瀬川さん。朝、桜庭の機嫌大丈夫だった?」
苦笑混じりに声をかけてきたのは、今朝、駅で会った橋浦くん。
「うん。そこまで機嫌は悪くなかったから……」
機嫌は良くないけど、悪いと言うのとも少し違う。今日の湊は、ちょっと気を張っているような雰囲気だ。
「なら良かった。ごめんね、俺のせいで面倒なことになってて」
「全くよ」
私の隣のちぃちゃんが呆れた様子で応える。
「? 橋浦くんが何かしたの?」
「何かって言うか……。ちょっと地雷を思いっきり踏み抜いたっぽくてね」
ね? と橋浦くんはちぃちゃんに苦笑混じりの視線を向ける。
「とわ、今朝も武田と一緒?」
「え? うん。いつも朝、駅で一緒になるから……」
明確に約束している訳じゃないけれど、去年の文化祭の後登校を再開してからは、朝は大抵武田と一緒だ。変な噂を立てらている私を心配して、時間を合わせてくれていたのだと思う。湊と付き合い始めてからも駅で会うので、結果毎朝一緒に登校することになっている。だって、避けたり、無視したりする間柄じゃない。
でも、今それをちぃちゃんに指摘される理由が分からない。