スイート ジャッジメント 番外編

「瀬川さん。朝、桜庭の機嫌大丈夫だった?」

 苦笑混じりに声をかけてきたのは、今朝、駅で会った橋浦くん。

「うん。そこまで機嫌は悪くなかったから……」

 機嫌は良くないけど、悪いと言うのとも少し違う。今日の湊は、ちょっと気を張っているような雰囲気だ。

「なら良かった。ごめんね、俺のせいで面倒なことになってて」

「全くよ」

 私の隣のちぃちゃんが呆れた様子で応える。

「? 橋浦くんが何かしたの?」

「何かって言うか……。ちょっと地雷を思いっきり踏み抜いたっぽくてね」

 ね? と橋浦くんはちぃちゃんに苦笑混じりの視線を向ける。

「とわ、今朝も武田と一緒?」

「え? うん。いつも朝、駅で一緒になるから……」

 明確に約束している訳じゃないけれど、去年の文化祭の後登校を再開してからは、朝は大抵武田と一緒だ。変な噂を立てらている私を心配して、時間を合わせてくれていたのだと思う。湊と付き合い始めてからも駅で会うので、結果毎朝一緒に登校することになっている。だって、避けたり、無視したりする間柄じゃない。

 でも、今それをちぃちゃんに指摘される理由が分からない。

< 37 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop