スイート ジャッジメント 番外編
試合開始のジャンプボール。H組のジャンパーは当たり前の様に、一番背の高い湊が立った。おかげで開戦前だと言うのに黄色い歓声が飛びまくりだ。ただ、私はと言うと、その歓声に気圧されて余計に冷めてみてしまうけれど。
そんな性格だから、昨日も同じクラスの林くんに「桜庭が試合してても静かだね」と言われていた。
だって……どこからあのキャーキャーした声が出てくるのかわからないし、どうやったら出るのかもわからない。頑張ってわざと出そうとしたら出るのかな?
もちろん湊の事は格好良いと思っているし、試合前に、決勝まで行くと宣言していたのも知っているから応援もしてる、だけど、あの声は……私の喉からは、到底出てこない代物だ。
同じく黙って試合を見る派のちぃちゃんの持っているトーナメント表を見れば、今日は4位以内のクラスは3-4試合こなす事になる。決勝まで行くのはもちろん優勝もしくは準優勝を意味する訳で、湊が本気でその気なら結構ハードな試合数だ。
ただ、高校生の試合時間で試合をしては、2日の日程では到底終わらないから、試合時間はだいぶ短縮してあると美久ちゃんが教えてくれた。