スイート ジャッジメント 番外編
「頑張れよ、桜庭。次、宮本と川平揃って居るからな」
武田が物凄く楽しそうに湊の肩を叩く。
「……なんであいつら同じクラスなわけ……」
「湊、次どこと当たるの?」
「2-J。吉沢並の脳筋二人も居んの……」
湊は開戦前からうんざりした様子でため息をつく。どうやら湊は八百長出来ないらしい。
しかも2年生で勝ち残っていたのは2-Jだけだったようで、2年生が総出で応援に回っていて、完全に3年生対2年生の様相を呈していた。
辛勝。
たぶんこの一言に尽きる試合だった。
「やべー。1時間休憩して武田とやんの? 辛いんだけど。アイツら呑気な試合しやがって」
ステージから毒つきながら湊が不満気に見下ろしているのは、3-B対3-Gの試合。
つまり、私のクラスと武田のクラスの……既に事前相談にて勝敗が決まっている試合。一見するとちゃんと普通に試合をしているけれど、湊がちょっと不服なのは仕方ない。
「ねぇ。朝の電車、そんなに嫌? 湊が嫌なら私が時間ずらすよ?」
別に約束している訳じゃないんだから、私がもう一本電車を早めたら良い訳で。武田も特に咎めてきたりはしないと思うのだけど。