溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
あの日は確かに運命を呪った

どうして、赤で横断歩道に飛び出したのか

繋いでいた手をお母さんは何故離したのか

運転手はなんでもっと早くブレーキを踏まなかったのか

悔しくて、恨んでも、憎んでも、どうにもならなくて

起きてしまったことは消せない

ずっと前を向かなきゃって

早く幸せにならなきゃって

大地を安心させなきゃってばかり思ってきた。

恋愛するのも怖くて、大切な人を失うのが辛くて、避けてきた道

それを否定しない

丸ごと受け止めてくれる言葉

「そんなふうに言われたの初めてかもしれない。」

「そんなふうにって何を?」

「無理するなって。前を向かなくても立ち止まっても、今を生きてればいいなんて、誰も言わなかった」

「本音を殺してその先に何がある?正直にいなければ心からは笑えない」

「東雲さんて、思ったよりいい人ですね」

「なんだよ、それ。俺は鬼畜か」

「そう、思ったときもありましたね」

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