溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
ブーツ ブーツ ブーツ

トイレに立った慶太の携帯がテーブルの上で小刻みに震える。

偶然視界に入った名前。

"七海"

知ってる。

慶太の元カノだ。

大学時代に付き合っていた。

慶太にとっては忘れられない人。

別れた理由は教えてはくれなかったけど、そのあとも七海を見ては切ない目をしてた。

大地と励まして何度も飲みに誘ったりもして。

その人がどうして今、、、

別れてからもう何年も経つのに。

番号、、、残してたんだ。

あー、痛い。

苦しい。

「じゃあ、行こうか」

なに食わぬ顔でトイレから出てきた慶太は、携帯のディスプレイを見ることなくポケットへ突っ込んだ。

言おうか、言うまいか

「ん?どうした?難しい顔になってる」

「、、、ううん。何でもない。」


< 145 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop