溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
結局、何も聞けずにあれから何日か経ってしまった。

週末の映画デート

楽しめる気がしない。

やっぱり最初に聞いておこう。

映画館の手前で慶太を引き止めた。

「慶太、聞きたいことがある」

繋いでいた手をグンと引っ張ったからか、少し驚いた顔を見せた。

「ん?どうした?」

「うん、、、この前、見ちゃったんだよね。偶然だけどさ、その着信相手。」

「、、、、。もしかして、七海のこと?」

「うん。」

怖くて顔が見れない。

今どんな顔してる?困った顔?驚いた顔?

それとも、しまったって顔?

「そうか、、、。場所変えようか。このまま映画観ても集中出来ないでしょ。」

「そうだね。」

なんて言われるんだろう。

答えの引き出しを幾つも持たない私は、なんて言えばいいんだろう。

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