溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
そのままスルリと頬を撫でられ、指先から伝わる熱に乱される鼓動を必死に抑えた。

「拒否んないの?」

「えっ?」

顔を上げて視線を合わせた瞬間、数センチ先まで近付いた東雲さんは残った距離を一気にゼロへ

流される。

東雲さんのペースにのまれてしまう。

こんな強引なキスは初めてじゃない。

誰もいなくて良かったなんて、考える私はどうかしてるのかも。

「、、、隙だらけ。」


離れた唇が名残惜しそうに艶めいて見える。

「いやです、、、」

「受け入れてるくせに?」

「、、、だから、いやなんです。なんで、拒否しなかったのか。」

「拒否したくないから、だろうな。」

「自意識過剰」

「間違ってないだろ?」

「間違ってるのは私です。彼がいるのに、、、」

「いい加減認めるのが一番だと思うけど?」

「なんですか、それ。」

「身体は素直なのに、心は頑なだな。」

「誤解招く言い方しないでください」

東雲さんはどこか余裕めいて、それが余計に私の不安を扇いだ。



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