溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
「お疲れ様でしたー。」

「お疲れ様。気を付けて」

「はい、お先します。」

よし。久しぶりの定時だー!

寄り道して帰ろうかなー。夕飯も外で済まそう。

軽快な足取りで事務所を出たところで、まさかの待ち伏せですかい。

「お疲れ。ちょっと飯付き合え」

「は?何でですか。私急ぎますので失礼します。」

「仕事の話。断るなよ?」

こんのヤロー!

仕事って言えば断らないと思って、、、

「、、、わかりました」

いや、どんだけだよ私。

ついさっき平穏で楽だと思っていた私にグーパンチしてやりたい。

仕事につられてホイホイついていくなんて、、、

「東雲さん、仕事の話とは?」

少し前を歩く東雲さんに念を込めながら問い掛けた。


チラリと振り返った東雲さんの横顔が、街灯に照らされて妙に色っぽく見えた。

あー、これはヤバい。

ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、不覚にもドキッとしてしまった。

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