溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
ねぇ、それ、どういう意味?

自分で何を言ってるか分かってる?

まるで恋の始まりみたいな、、、

でも、無理だよ。

そんなの、絶対に有り得ないから。

「けど、私は別に男としてのあなたに興味ないので。仕事上の付き合いだけで十分です。」

「ふん。言うね。」

さも分かってましたよと言わんばかりの顔

想定済みってこと?

まぁ、いいや。

「あの、ところで、話が済んだなら帰ります」

立ち上がろうと右手をテーブルへついた

その右手は瞬く間に自由を失う

「付き合えよ。奢るから。」

初めて見た

この人の上目遣い。

動悸がする。

見下ろされることばかりで、見上げられることなんてなかったから油断した

「ガッツリ食べますよ?」

「好きなだけどーぞ。」

「ガンガン飲みますけど?」

「望むところだ。」

フッと口角を上げての妖艶な微笑みは、頑なに閉ざしていた現実と向き合わされるキッカケとなった




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