溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
カチンとジッポを閉じる鮮やかな音と手付きに見入って、さらに沈黙が続た。

「、、、なんだよ?」

「えっ?あー、、、そうですか。」

ジッと見ていたことに気付かれて、適当に返事をした。

なんだろう、、、

目が離せない。

タバコを挟む指がキレイで、タバコを吸う唇に思わず目がいく。

「あの、棚橋さんはどうして?」

「急遽、抜けられない案件が入った。先方の指名でな。」

「なら、他の日とか」

「それが出来ないから、俺とお前の二人になったんだろ」

確かに。

ん?いや、待って。

二人?二人きり?!

この流れで二人とか無理すぎるー!!

ちょっと考えただけで眩暈が、、、

「プッ、、、顔、出すぎ」

「え?は?顔?」

「テンパって百面相。なに?なんか期待した?」

ハァ?何言ってんの?

タバコ吸う姿に一瞬でも見惚れた自分キモッ。

ないない。

絶対、こいつとどうにかなるとか有り得ない。

ましてや恋とか?

あー、無理無理。

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