嘘つきは恋のはじまり
ひとしきり笑ったところで、急にすごく懐かしさが込み上げてきて、私は提案する。

「もし嫌じゃなかったら母に会って行かない?きっと驚くよ。」

子供の頃、同じマンションに住んでいたこともあってお互いの家にもよく行っていた。
母も、だいちゃんのことをよく知っているのだ。
遊んでいて障子を破ってしまって、二人してこっぴどく怒られたこともある。

「じゃあぜひ。何かお見舞いでも買って行こうかな。」

「え、いいよ、そんな…。」

私の断りにだいちゃんは手で制止をすると、おもむろに席を立ってカウンターに行く。
そしてすぐに可愛らしくラッピングされた袋を持ってきた。

「ここのお店のゼリーとプリン買い占めちゃったよ。」

「えっ!」

「4個しか残ってなかったからね。」

そう言って笑うだいちゃんに、つられて私も笑った。
優しいなぁ、だいちゃん。

私も母の荷物が入った大きい紙袋を持って立ち上がると、手からするりと紙袋が抜き取られる。

「持つよ。」

あまりにもスマートな動きに遠慮する暇もなくて、私は慌てて「ありがとう」とお礼を言うので精一杯だった。
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