俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
番外編四 初めての夜
ガタガタ、と窓が大きく揺れ、私はそっとカーテンを少し開けて外を見る。

外は土砂降りの雨と強い風、そして空を覆う漆黒の闇に時々光が走る。その轟音と光に、私は怖くなって目を閉じた。

今日は嵐が来るかもしれないと新聞が載せていた。こんなに晴れてるのに?と私は首を傾げた。

しかし、午後から空に雲が集まり始め、夕方には雨が降り始めた。

また、空に雷が光る。

「きゃあ!ベル!ベル!おいで〜!」

私はベルを呼び、抱きしめる。ベルは、温かくて柔らかくて抱きしめていると少しは安心するの。

小さい頃から、私は雷が苦手。怖くて、怖くて、眠れなくなった。その時に抱きしめてくれる人なんて、私にはいなかった。でも、今はーーー。

「どうしたんだ?そんなところにしゃがみ込んで」

お風呂に入っていたリーバスが、私に訊ねる。私は素直に「雷、怖いの」と言った。

そう言っている間にも、また雷が鳴る。私はベルを抱きしめ、目を閉じた。

「抱きつくなら、俺にしてもいいんだぞ?」

リーバスがそう言って、私を優しく後ろから抱きしめる。ふわり、とシャンプーのいい匂いがした。

「うん…。そうだね…」

私はリーバスの腕に触れ、言った。
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