俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
クリスタルは、俺と暮らし始めてから料理の腕はとても上達した。クリスタルが作ってくれるお菓子はうまい。

「とても楽しみだ。きっとうまいんだろうな」

「うん!その時はまた食べてね!」

そんなことを笑いながら言い、ババロアをそれぞれ口に入れる。甘みが口に広がる。とてもうまい。パティシエよりうまいんじゃないか?

そう思っていると、「おいしいね〜」とクリスタルが言う。その頰にはババロアがついていた。

「ついてるぞ?」

そう言って俺はクリスタルの頰に顔を寄せ、舌でそっと舐めとった。

「ひゃっ!リーバス!」

驚くクリスタルの頰を両手で包み、柔らかな唇に自身の唇を重ねる。

「んんッ!」

最初は驚いていたクリスタルも、俺に身を任せたようだ。体の力を抜き、キスを繰り返す。

クリスタルとの日々は、ケーキやババロアのように甘い。幸せで、穏やかで、かけがえのない宝物のような思い出が増えていく…。

こんな日々が、ずっと続けばいい。唇を重ねながら、俺は願った。



チャリ、と俺が腕を動かすたびに鎖が音を立てる。

真夜中の独房。俺は新聞に目を通していた。

クリスタル・モーガンはもうすっかり人気者で、クリスタル特集という記事もある。

そこには、クリスタルがリーバスと恋仲だということもきちんと書かれていた。

「きっと、すぐに会えるさ…。王女様…。そして、そのナイトくん?」

脱獄計画は、少しずつ始まっていく。
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