もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜



「すぐ泣くんだな」


健斗が私の涙を拭った。
だけど止まるわけなくて。


「今回は、泣いても譲らねぇから」
「どう……して?」

どうしてそこまでして“恋人のフリ”を必死で演じる必要があるの?


「そんなに応援行きたい?」


応援に行くどうこうより、今は健斗の態度に違和感を感じているのだ。

怒るほど、完璧に恋人のフリを演じ切りたい?

キスを何度もするほど、健斗にとって恋人のフリは重要なの?


わからない、健斗が何を考えているのか。


「反応、なし?」

先ほどとは違い、健斗が私を優しく抱きしめる。

< 164 / 269 >

この作品をシェア

pagetop