【バレンタイン&ホワイトデーSS】【番外編】最後の夜に「愛してる」を誓って
「……想像以上にビターでしたね……」

「ポジティブな言葉でまとめようとするな」

というか、断る手前、甘いものが嫌いということになっているが、俺だってもらうならそこそこ甘くておいしいチョコがいい。

「いいか、次に持ってくるなら、普通のやつにしろ。渡しているところを誰にも見られるなよ」

「は、はい!」

キラキラした瞳で頷く彼女。

……頼むから、もう変化球はやめてくれ。

面倒くさいと思いつつも、わずかに楽しみに感じている自分がいる。

「さっさと帰るぞ」

「はい!」

コーヒーを一気に飲み干し缶を捨てると、彼女は慌ててチョコの空箱と破れた包装紙と、飲みかけのラテを抱え、休憩室を出る俺の後についてきた。
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