「Last note」〜特性を持つ者へ3
どうもこの事件、正直余裕がない俺がいる。
友人が被害にあったせいだとは自覚してるが、折角再会できた櫂達に嫌な思いをさせてしまいそうだ。

「青山、刑事になったんだろ?」

落ち着きなくその場をうろうろし始めた俺の腕を櫂が引きとめた。

「そうだよ…。」

「なら、私情だけで動けないのは同じだろう。
俺だって患者がすぐ傍にいるなら救いたいが…
一旦冷静になれ。特性をコントロール出来るようになった青山ならできるだろ?」

櫂にそう諭された俺は、 きちんと聞き入れて警察手帳の入った胸ポケットに触れて深呼吸した。

「そうだな。悪かった、ありがとう。
まず俺がしっかりしなくちゃ。」

そう言うと二人とも、懐かしい笑顔を見せてくれた。

「俺達は夜、廣瀬達に会いに喫茶店に行く。
青山も来れたら来いよ。」

「分かった。ぢゃあここで。」

櫂と2年ぶりに握手を交わし、俺は急いで病院を出た。
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