僕の1番大切な人
僕は、そのままフラフラと家に帰った。

きっと、兄さんと姉さんは、これから離婚の話し合いで大変なんだろう。

僕には何も出来ない。

ただ見守るしか。

でも、仕方がない…


これが、自分が決めた道なんだから。


僕は、これから先、ずっと姉さんの幸せをただ願うだけ、そうやって生きて行くんだから…


それから、しばらくしたある日、兄さんから連絡が入った。


姉さんは、正式に兄さんと離婚して、実家の近くのマンションに引っ越したらしい。

もちろんどこなのかは、聞いていない。

聞かない方がいいと思ったんだ。

兄さんも、あの時見た女性と付き合っているんだろう。


そして、ユウは…


最初は、あまりの急展開についていけてないようだったけど、僕がフラレたことを言った時には

『自分も告白してたら、間違いなくフラレてたよ、凌馬、よく告白したな、見直したよ、やる時はやる男だな』

って、僕の髪をくしゃくしゃにしながら、相変わらずイケメンな笑顔で、言ってくれたんだ。

もう、ユウに対して、わだかまりはない。

そんな風に思えたのは、きっと、告白の後押しをユウがしてくれたからだ。

ユウが、姉さんに告白するって言ってくれたおかげで、きっと、僕も告白したいって思えたんだと思う。

結果、フラレたけど、それでも勇気を出して告白したことは、僕にとって、大きな一歩だったんだ。


ユウとは、これからも大切な親友でいたいと思う。


本当にいろいろあったな…


中学生が抱いた淡い憧れが、せつない愛に変わって…


姉さんへの気持ちが変わることは、この先もないだろう。

姉さんに、もしいつか会えた時、恥ずかしくない男になっていられるように…

もっと成長したい。


情けない男は、もう卒業だ。



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