トリップしたら国王の軍師に任命されました。
「帰ったらすぐ職人探しだ」
「御意……」
アーマンドは何か言いたげだったが、結局うなずいた。
「新しいことをやるときは、周囲の反発があるものよ」
明日香はさほど気にしていない。上司の命令を黙って聞き、奴隷のように働いていた社会人生活と比べれば、今の方がなんと気楽なことか。
「防具も考えなきゃ。いちいち重い盾なんて持っていられないわ」
明日香は軽い防具を探しに、港街を歩き回る。賑やかな港は、様々な人が行き来していた。
二時間ほど歩き回り、お腹が空いたところで、明日香は足を止めた。
「腹が減ったか」
ジェイルが聞いた時、数メートル先から怒鳴り声が聞こえてきた。
「このガキ! 勝手に売り物食いやがって!」
声がした方を見ると、大男が六歳くらいの少年の腕をつかみ、宙に持ちあげていた。
「知らねえよ! こんなに飾ってあるんだから、ひとつくらいいいじゃねえか!」
少年も、負けずに言い返す。髪は少し長く、おかっぱ頭の彼に、謝る気はなさそうだった。
明日香はそっちに近寄った。祭りの屋台のリンゴ飴に似ている。溶かした飴で果物をコーティングしたもののようだ。
ずらりと並んだそれを、他の子供たちはちゃんと親に買ってもらって口にしている。しかし袖もない軽装をしたその子供は、近くに親らしき人物がいない。