思いは海の底に沈む【完】
入ってきたのはスタッフではなくて
今話題の女優、白石千夏さんだ

この前、映画で主演女優賞を取った彼女が
何故か俺の楽屋に入ってくるなんて、夢なのではなかろうか



「湊君、是非この“ストーク~女刑事、栗田麻衣子~”のバディの役やってもらえないかしら?」

『今話してた所なんです。とても楽しみにしてます』

「良かった。受けてくれて嬉しいわ」




嬉しそうに俺の腕に絡めてくる白石さん
わざとなのか胸を押し付けてくる

緑川さんは顔をしかめている



「じゃあね、これからインタビューなの。ほら、授賞式の裏側を、とかって」

『えぇ、頑張ってきてくださいね』



話し方がいちいち艶っぽい

この人、演技の参考になるなぁ






手を振って彼女を見送る



「あの女、白石千夏は歳を考えずに若い男に手を出すような女だから気を付けなさいよ
前は今ブレイク中の俳優と熱愛報道あったみたいだし
今回は湊にロックオンってとこかしら?
あの女、直々に湊を指名したのよ」

『え。俺、それが一番心配かも…。』
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