思いは海の底に沈む【完】

途中、電話が鳴った
マネージャーの緑川さんからだ



『はい』

「湊!アナタ昨日なんで先に帰ったの!?万が一に備えて送るって言ったわよねぇ!?」

『ごめんなさい。恋人が家で待ってて』

「で!?今どこ?」

『え?あー…』

「いた!!」



電話がいきなり切られた

いたって事は見つけられたんだよな…キョロキョロ見回すと目の前の車のクラクションが鳴る




緑川さんが手を降っていた

『ありがとう!』

「良いのよぉ。それくらい、美代子さん、どうだって?」

『あー、あのね。フラれちゃったみたいで。昨日抱いたから暫く落ち着く…と思う』

「そうなの…。ま、そんなこともあるけどね…」





緑川さんは車を走らせる


俺はまだ未成年だから運転出来ない
だから緑川さんに迎えを頼むこともあった

緑川さんは美代子さんが絡むと苦笑いをした

なるべく関わらないよう何度か忠告をされた
だけど、美代子さんとは恋人だから離れることは出来なかった


緑川さんは、3年前くらいからの担当だった

それまでは美代子さんがやってくれてたからマネージャーは必要なかった


でも、緑川さんが入る前に美代子さんが恋人と失踪した期間があってそれで緑川さんが配属になった



緑川さんは何者なのか分からないけど信用はできる

美代子さんと俺の関係を一瞬で見破った

だから今も気にしてくれてる
< 6 / 209 >

この作品をシェア

pagetop