狼を甘くするためのレシピ〜*
※※※


 ここは西園寺ホールディングス。
 国内外の事業を手掛ける大手のデベロッパーである。
 そして、長い間この企業のイメージモデルを務めたのはLaLa。そのLaLaは西園寺ホールディングスの仕事を最後に引退した。


 ――十分は経ったか。

 袖を伸ばし、腕時計を見たのは、西園寺ホールディングスの創業者一族で若き常務取締役である西園寺洸の秘書、鈴木だ。

 彼は、役員室が並ぶ上層階の廊下を、足早に進んだ。

「すみません。お待たせしました」

 応接室に入ると、中にいた客は、壁にかけられているポスターの前に腕を組んで立っていた。

 振り返った客は「忙しいのに、申し訳ないな」と肩をすくめる。

「いえいえ、こちらこそ」

 そう言いなら鈴木もポスターに目を向けた。

 ポスターの中には、眩しそうにビルディングを見上げるLaLaがいる。

「見納めです」

「ん?」
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