狼を甘くするためのレシピ〜*
 蘭々は知らないが、その時から仁と洸にとって蘭々は守るべき宝石になった。

 ――あの日、俺たちは蘭々のナイトになったんだ。

 偶然とはいえ今の宝石店を手に入れた時、蘭々を思い浮かべたのは、そんなことが心にあるからかもしれいない。

 ファッションモデルを辞めた今でも変わらず、蘭々は宝石のままである。

 この彼女への気持ちは恋とは違う。
 恋や愛欲などで汚してはいけない、崇高な存在の女性。

 ――でも、本当にそうなのだろうか?

 いつか自分に代わって彼女を守る男が現れるまでのナイトでいようと思っていたし、蘭々に恋人ができた時も普通でいられた。

 なぜなら、その恋人たちとはすぐに別れるだろうと、先が目に見えていたからだ。

 ――径生。

 キリキリと唇を噛んだ仁は、スマートホンを手にした。

「藤尾、頼みがある」
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