狼を甘くするためのレシピ〜*
「そうですね。うちじゃ、間違ってもありえませんけど」

「なんでだよ。わからないだろう? 女子社員が三分の二はいるんだし、ほとんど独身なんだしなぁ」

「人数の問題じゃありませんって、ありえないでしょ。隙あらば住みつこうとしたり、家で転んで骨折するような珍獣たちですよ?」

「そう言うな、不器用なだけでみんないい奴じゃないか」

 目を細めて月子が睨んでも、径生は肩をすくめる。

「俺は応援するぞ。なんだったら仲人やってやるからその時は言えよ」

「仲人って社長、独身じゃないですか」

「独身じゃだめか?」

「ダメってこともないかもしれませんけど、ひとりってわけにはいかないんじゃないですか? 隣に女性がいないと」

「ふぅーん。そうなのか」

 チラリと隣を見た月子の眉がピクッと動く。

 最近は話題にしたことがなかったが、社長には恋人がいるのだろうか?
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