狼を甘くするためのレシピ〜*
 彼の言うことはその笑顔と同じで、どこにも気取りが無い。

『前の仕事はどうして辞めたんだ? 嫌な事でもあったのか?』

『ううん、そうじゃないわ』

 きっかけはどうあれ、いつしか好きになっていたファッションモデルという仕事。なのにどうして辞めたのか。

『私ね、もうすぐ誕生日なの。十一月なんだけれどね、その誕生日を区切りにすることが目標になっていたのよね。』

 ――そういえば。

 ケイは年齢がいくつなのか、聞いてこなかった。
 女性に歳を聞くようなデリカシーのないことはしないのだろう。

 彼はそうかと頷いただけだった。

 どうして三十歳が区切りなのか。
 もちろんケイには言わなかったが、その時あらためて考えた。
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