狼を甘くするためのレシピ〜*
 ファッションモデルを辞める本当の理由は、つまらないプライドのせい。

 衣夢のように、いくつになっても自分らしさを貫いていくという、本当に必要な強いプライドはない。自分にあるのは落ちぶれたと言われたくないという、馬鹿みたいなプライドだ。

 人気があって綺麗なうちに惜しまれて辞めたかった。

 ただ、それだけ。

 努力で勝ち取ったはずの名声が、逆に自分を弱くした。

 失敗することが怖い。

 LaLaは今どうしているの?と噂されて、事業に失敗したらしいわとか、何をやってもうまくいかないみたいよとか、そう言われるのが怖くて仕方がない。

『でもケイ。色々やってみても片っ端から失敗して、後悔しか残らなかったらどうしよう』

『ん? 這いつくばってりゃ、そのうちなんとかなるさ』

『怖くないの?』

『そりゃ怖いよ、だから這いつくばるんだ。全力で』

『人に笑われたら?』

『そう言われてもなぁ。俺なんか、年がら年中笑われているしなぁ』

 アハハと自慢げに笑うケイを見て、力が抜けた。 
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