狼を甘くするためのレシピ〜*
 ※※※

 次の日の昼過ぎ、蘭々の働く店に、オーナーである氷室仁が来た。

「よっ、蘭々。どうだ? 調子は」

 答える前にクスッと笑う。

 顔を見て、その声を聞いただけで、心がホッとする。
 仁はいつだって安心感を与えてくれる存在だ。

 夕べのケイとの電話のことで、ふわふわと浮足立っていた心が現実を取り戻し、落ち着いてくような気がする。

「ええ、おかげさまで楽しくやってます」

 従業員らしくちょっとかしこまってそう言うと、仁は弾けるように目を細めて笑った。

「それはよかった。食事は? 済んだ?」

「これからよ」

「ちょうどよかった。店長との話が終わったら、ランチに付き合えよ」

「はーい」

 長い付き合いである仁は、食べ物も好みも蘭々が好きな物は何でもわかっている。

「和食?イタリアン。どっちにする?」とだけ仁は聞き、蘭々はイタリアンと答えた
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