狼を甘くするためのレシピ〜*
 ふたりが向かったのは、店の近くにあるおしゃれなレストラン。
 個室でゆったりと食事をすることができる店だ。

「ねえ仁はさ、恋をしたことある?」
 おもむろにそう聞いた。

 恋を見失い、恋愛に迷いしかない蘭々とは違って、仁はいつだって恋愛という映画の主人公を演じている。

 更に言うならば、彼は常に勝者だ。

 恋に泣くことはない。

「ん? あるよ。っていうか、俺が好きでもない女と付き合ってたと思ってた?」

「それよ、その好きっていうのと恋とはどう違うのかって話。
 正直に言っちゃうと私って多分過去の恋人に恋はしていなかったって思うわけ。もちろん好きだったけど」

 ふんふんと頷いた仁は、軽く首を傾げ、うーんと唸った。

「恋ねえ。よくわかんねえな。
 ま、少なくとも俺の場合は、恋をしたとしてもその気持ちは長く続かないってことだろうな。
 どうした? 珍しいな蘭々がそんな話するなんて」
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