狼を甘くするためのレシピ〜*
 蘭々は友人の話として、自分とケイとの関係について説明した。

 バッテリーが上がった時に助けてもらったことから始まり、その後、偶然入った店で再会して、飲みに行ったこと。

 そして、酔った勢いで一夜を共にしてしまったこと。

「でね、彼女はその男ともう一度会うかどうか迷ってるわけ。仁がその男ならどうする?誘う?」

 長い睫毛を時折伏せ、仁は頷いて蘭々の話に耳を傾けていた。

「迷っているってことは、彼女は楽しかったんだな?」

「うん。楽しかったみたいよ」

「男からは、連絡する手段はないんだな?」

「そうみたい。彼の電話番号は教えてもらったけど、彼女は教えていないから、彼女から連絡しなければそれで終わりなんだって」

 仁がその美しい目元に浮かべているのは、穏やかな微笑みである。
 少なくとも、蘭々の目にはいつもと変りない親友の表情だった。

 だが実は、彼はその内側に、冷水を浴びせられているような心の動揺を隠していた。
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