狼を甘くするためのレシピ〜*
 ――“友達の話”?

 しかも男の話だ。こういう時は多くの場合、自分の話である。

 ――蘭々、お前自身の話なのか?

 仁は静かに息を吸い、さり気なく答えた。

「一緒に過ごして楽しかった女から、また連絡があったら、当然誘うだろうな」

 声は落ち着いたままだ。
 内心の焦りなどおくびにも出さず、ざわざわと波立つ心に気づかないふりをしてそう答えた。

「でも、面倒だって逃げたくはならないの? 一度限りならまだしも……」

「面倒そうな女なら一度目もなにも、最初からそうはならない。飲みに行ったんだろ?それだけで手を出さずに別れるさ」

「ってことは、この女ならその……遊び相手として上出来ってこと?」

 アハハと仁は笑う。

 蘭々が呆れるほど女にモテるこの男は、当然女の心を読むことに長けている。
 あくまで自然に、蘭々の話の真意を探ることに専念した。
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