グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「なんなのよ! 突然現れて、パティーナの母親? 笑わせないで、母親は私よ。パティーナを産んだのは、私! 」

「貴女が・・・どこでパティーナを産んだのですか? 」

「南グリーンピアトよ、ちゃんと母子手帳もあるわ」

シルビアは口元で、そっと笑いを浮かべてディアンナを見つめた。

「パティーナは南グリーンピアトでは、産まれていません」

「はぁ? 」

「パティーナは、グリーンピアトで産まれています」

「な、何を言っているの? 」

 シルビアは1通の封筒をティミスに渡した。

「国王様。中をお改め下さい」

 封筒を受け取り、ティミスは中を見た。
 
 封筒の中身は・・・

 パティーナの出産証明だった。

 国立病院で発行された証明書であり、母親はシルビアになっている。


「出産証明だな。これにはちゃんと、国印も押してある。本物に間違いない」

 ディアンナはティミスから証明書を取り上げた。

「なによこれ、こんなの偽物よ! 」

「いいや、本物だ。国立病院の理事長の名前も書いてある。間違いない」

「嘘よ! 信じないわ! だったら、親子鑑定をして下さい。私とパティーナの親子関係が証明されますから」
 
 シルビアはフッとため息をついた。

「そこまで仰られるのでしたら、どうそ、親子鑑定でもして下さい。・・・私も母子手帳がございますので、それを提出いたします」


 望むところよ。

 ディアンナは挑戦的な目で、シルビアを見ている。


 突然現れた、パティーナの本当の母親と名乗るシルビア。

 ずっと虚ろだったマロンディスの目に、生気が戻った。

 そしてシルビアをずっと探していたと言うマロンディス・・・。
  
 
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