グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「どうして、そんな言い方するの? 」
ジュリアルが訪ねると、シルビアは辛そうに視線を落とした。
「皇子様は、沢山の人に愛されています。だから・・・私よりもっと、相応しい人がいると思うのです・・・」
「何言っているの? 誰が、誰を愛そうとそれは自由なのよ。マロンディスが貴女を選んだのは、きっとハートで感じたから。貴女はとっても素敵よ。もっと、自信をもっていいわよ」
そう言われても、シルビアはまだどこか吹っ切れないようである。
それから。
シルビアはお城に宿泊することになった。
客間を用意され、ゆっくり寛げるようにしてもらった。
とっても広くてモダンな部屋に、シルビアもゆっくりと気持ちが落ち着いていた。
窓から見える星空がとても綺麗で、初めて見る光景にシルビアはとても感動した。
コンコン。
ノックの音に、ハッとしてシルビアは振り向いた。
「シルビア・・・入っていもいいか? 」
マロンディスの声だ・・・。
シルビアはドキドキと胸が高鳴り、どうしたらいいのか分からず、返事をする声も喉に張り付いて出ないくらいだった。
「シルビア? 開けるよ」
ゆっくりとドアが開いて、マロンディスが入ってくる。
窓辺に佇んでいたシルビアは、ギュッと唇を噛んだ。
「シルビア、どうかしたのか? 」
優しいマロンディスの声が、シルビアの胸に響いてくる・・・。
6年前と変わらない。
(シルビア、愛しているよ。・・・)
そう言ってくれたマロンディスの優しい声を、今でもシルビアは鮮明に覚えている。