グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

「どうして、そんな言い方するの? 」

 ジュリアルが訪ねると、シルビアは辛そうに視線を落とした。

「皇子様は、沢山の人に愛されています。だから・・・私よりもっと、相応しい人がいると思うのです・・・」

「何言っているの? 誰が、誰を愛そうとそれは自由なのよ。マロンディスが貴女を選んだのは、きっとハートで感じたから。貴女はとっても素敵よ。もっと、自信をもっていいわよ」

 そう言われても、シルビアはまだどこか吹っ切れないようである。




 それから。

 シルビアはお城に宿泊することになった。

 客間を用意され、ゆっくり寛げるようにしてもらった。

 とっても広くてモダンな部屋に、シルビアもゆっくりと気持ちが落ち着いていた。


 窓から見える星空がとても綺麗で、初めて見る光景にシルビアはとても感動した。


 コンコン。

 ノックの音に、ハッとしてシルビアは振り向いた。

「シルビア・・・入っていもいいか? 」

 マロンディスの声だ・・・。

 シルビアはドキドキと胸が高鳴り、どうしたらいいのか分からず、返事をする声も喉に張り付いて出ないくらいだった。


「シルビア? 開けるよ」

 ゆっくりとドアが開いて、マロンディスが入ってくる。

 窓辺に佇んでいたシルビアは、ギュッと唇を噛んだ。


「シルビア、どうかしたのか? 」

 優しいマロンディスの声が、シルビアの胸に響いてくる・・・。

 6年前と変わらない。

(シルビア、愛しているよ。・・・)

 そう言ってくれたマロンディスの優しい声を、今でもシルビアは鮮明に覚えている。
< 23 / 101 >

この作品をシェア

pagetop