グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

 ドアを開けて入って来たのは、マロンディスとジックニーだった。

「やぁ、おはよう」

 とてもご機嫌で入って来たマロンディス。

 そして、マロンディスに大切そうに手を繋がれているジックニー。

 昨日着ていた服とは違い、今日は爽やかないロイヤルイエローのシャツに、茶色いズボンに黒いスニーカーと、地上の子供と変わらない服を着ている。

「ジックニー。貴方、どうやって来たの? 」

 驚いているシルビアに、ジックニーはちょっと照れたように視線を落とした。

「飛竜に乗って来たよ。でも、地上の人には見えないように、ちゃんとバリアは貼っておいたから大丈夫だよ」

 照れくさそうに、ちょっと素直じゃない顔をしているジックニー。

「1人で来たの? 」

「そうだけど」

「おばあ様には、ちゃんと言ってきたの? 貴方が突然いなくなったら、心配するわ」

「別に・・・心配なんかしないと思うけど。・・・僕の事なんて、何もみてなかったし・・・」

 不愛想な顔をして俯いてしまうジックニーを見て、マロンディスは自分の幼少期と重なって見えた。


「お兄ちゃん、もしかして素直じゃないの? 」

「な。なんだよパティーナ。久しぶりに会って、それかよ」

「え? だって、お兄ちゃん産まれる前も素直じゃなかったもん」

「う、うるさいなぁ。そんなんじゃねぇよ」

 口をとがらせて、そっぽを向くジックニーを見て、パティーナはクスっと笑った。

「あれ? お兄ちゃん、お父さんと一緒に来たってことは。先に、お父さんの所に行ったの? 」

「・・・ごめん。1日間違えて来たんだ」

「え? じゃあ、昨日来たの? 」

「うん・・・」

 照れくさそうにしているジックニー。

 パティーナはマロンディスを見た。
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