幸福論
俺はあの時、確かに覚悟した。



気持ちを伝えようって彼女に向き直った。



好きって言って、
彼女が頷いてくれて
カップルになって、龍に報告して。


こうなることをずっと前から想像してた。



この1年でめちゃくちゃ距離も近付いて
お互いの呼び方も変わって


ゆっくりゆっくり傷つけんように
少しでも彼女に近付けるように



俺なりに考えて
ご飯に行けるようにまでなって
冗談言い合える仲にまで築き上げてきた。



でもそれは
俺のただの勘違いやったんやな。


小森くんって呼んでくれるのも


頑なに見せへんかったあどけない笑顔を
俺に向けてくれるようになったのも


たまに移る関西弁も


俺は君がこっちに向いてきてくれてるからやと
思ってた。
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