幸福論
それはすぐに逸らされることは無くて、
ただそれだけでも嬉しいって感じてしまってる。


今日で警戒心だけでも溶けたらええな、
って思ってる時に
幸せな時間は終わりを告げるもので。





「まこそろそろ時間じゃない?」





志乃ちゃんの言葉に
俺も新藤さんも時計を見た。





「ほんとだ。
私そろそろ失礼するね。」





そう言って立ち上がった。


断る龍に反して
律儀にお金を置いてくれる新藤さん。


お疲れ様でしたの言葉を残し、
彼女はそのまま帰ってしまった。


せっかく馴染めそうな時やったのにと
思っていると





「遅くなりましたー!!」





そんな声と共に個室が開く。
なぜかそこには紺ちゃんが立っていた。
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