幸福論
適当に料理を頼み、
とりあえずの乾杯をする。


新藤さんのグラスに自分のグラスを
当てることも戸惑ってしまって。


普通に食事を楽しみたいのに
目の前の彼女が気になってそれどころやない。



こんな突然訪れた、
彼女との仕事以外での関わりを
あれだけ願っていたはずやのに


俺がここにいてもいいんかな、とか
俺がいたら気分悪くせんかな、とか
いらんことばっかり考えてしまう。


目の前にいる、仕事モードやない彼女は
いつにも増して綺麗で。


鎖骨あたりに光るネックレスが
ますます彼女を輝かせてるなぁなんて
気持ち悪いことも頭をよぎる。






「そういや斗くんとまこは仕事順調?」





いらん考えが頭をぐるぐる回ってる時に
突然話を振られた。






「あーうん。もうすぐ撮影にも入るし.....」

「そろそろ佳境に入るってところかな。」





淡々と答える新藤さんと目が合った。
< 91 / 448 >

この作品をシェア

pagetop