大嫌いの裏側で恋をする


「……悪い、間宮。お前もう帰ってろ、仕事終わってんだろ?」
「ええ〜俊平くん追いかけてきたのに全然遊んでくれないじゃん」
「とりあえず、帰ってろ、また時間作るから」

抑揚なく返す高瀬さんと、間宮さんの間に僅かに張り詰めた空気がうまれた。
……ような、気がしたけれど。

「ふ〜ん、いいけどぉ。 帰ったら電話、するね」
「いらねーよ」

高瀬さんの返事なんて聞こえてないかのように、にっこり笑って去って行く。
強い。
間宮さん、マジで強い。
高瀬さんはモテるけど、性格がアレだから。
ここまで押されてるとこ見るのは初めてだ。
美女に押されて、押されまくっても、やっぱり社内の女は面倒なんだろうか。

その考えに至ると、胸がぐっと苦しくて痛くなる。
でも、こんなものに怯んでる場合じゃないんだから。

間宮さんが休憩スペースを出て、
高瀬さんが無言のままもう一度座って。

そして、腕を組んで足を組んで、私を見る。
その格好がサマになってんだから、いちいちしんどい!

「待って、っつったな、お前」
「……い、言いました」
「お願いします、って?」
「言いました……」

言ってしまいました。
ねだるような、言葉は、どうしてこうも恥ずかしいのだろう。

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