大嫌いの裏側で恋をする
「?? 高瀬さん、どうしたんです?」
「いや、待て。 待て待て待て誰が誰を好きって?」
「高瀬さんが吉川さんを?」
こめかみを抑え込み俯く。 リアル考える人な姿。
「変な噂流れてんのは奥田に聞いてたけど、吉川が違うって言ってたろ?」
「はい、あり得ないって言ってたので高瀬さんの片思いなんだなって」
何でそうなるんだ、と心底呆れた顔でわざとらしいため息をつきながら私を恨めしそうに見る。
「アンジュで、高瀬さん、好きに決まってるだろって吉川さんに言ってたって? 更衣室で聞こえたから……」
高瀬さんの気持ちは間違いないんだろうなと、思ってた。
「アンジュ?」
「隣にあるカフェですよ」
「…………ああ、あーーそれか。 なるほどな。 まあ、したかもしんねぇな、そんな会話」
「やっぱ……」
「バーカ、残念だけど俺と吉川の話じゃねーよ」
もともと、いつも鋭く光ってるような瞳が更に鋭さを増し射抜くように、私を睨む。
「……そうでしたか、勘違いしててすみません。 でも高瀬さんも何も否定してなかったし」
ホッとしたような、でもまだ腑に落ちないような。
複雑な気持ちだけど。
「めんどくせぇし、 お前なら吉川から聞くだろうと思ってたし」
「はあ、私だけに伝わってても仕方ないでしょうに……」
信じてみるしかないんだよね、当人たちにしか結局真相ってわからないから。
少しでもいい方に考えるしかない。
肩をすくめた私に「そーだな」って言いながら笑いかける。
その笑顔は、あの日の、あの、悠介のように複雑で読み取りにくい笑顔。
の、ようで。 また全然違うような。