大嫌いの裏側で恋をする


はぁ、って。 高瀬さんの大きなため息が小さな休憩スペースに響く。
ビクっと肩を震わせた、私の。
力を込め続けてる手を取って「痛いだろ?」って握りしめたまま言う。
爪が食い込んでた太ももは、確かに痛かったかもしれないけれど。
ぶっちゃけ、今はその動作にドキドキしちゃってわかりません。

「違う。 それ、謝んのこっちだ」
「え?」
「いや、普通に考えてお節介っつーか、言い過ぎた」

握りしめられてた手が離れて。
顔を上げると、うなだれてる私と座ってる高瀬さんの目線が思ったよりも近い。
それでも視線を動かさない高瀬さん。
恥ずかしくなってまた俯いた私は、更に言葉を続けた。

「お節介なんかじゃないです……秋田さんの前で酔い潰れたのはどう考えても大人として女としてあり得なかったですし、それに」
「それに?」

言葉を区切ると、高瀬さんが続く言葉を待ってくれている。
その声が優しいから、もう高鳴る心臓はどうしようもない。

「その時は、その……高瀬さんと吉川さんのことで頭いっぱいだったっていうか」
「……俺と吉川ってなんだよ、なんかあったか?」
「いや、その……高瀬さんが吉川さんのこと好きだなんて、知っちゃって、ちょっとどう接したらいいのかなとか、色々」

高瀬さんは何も答えない。
不安になって見ると、なんとも言えない唖然とした顔。
< 110 / 332 >

この作品をシェア

pagetop