大嫌いの裏側で恋をする

でも、ガッカリしたのは一瞬で。
私は息の飲む。
無から一転。
動いた高瀬さんの表情が、言葉とは、まるで反対だったから。

「って、よく思ってたけどな、ないな、やっぱマジでないわ」
「え? 」

わしゃわしゃと久し振りに私の頭を撫でながら。
また、見上げると。
細められた瞳に、小さく私が映る。
その中の私は、優しい光に照らされながら高瀬さんの瞳の中にいる。

「破壊力半端ねぇから、やめといて」
「……んん??」

甘い空気になってもいい、はずなんだけど。
ならないもんですね。
ジッと見てると、今度はオデコをペシっとされる。

「痛い! ひどい!!」

抗議してるのに、今度はケラケラと楽しそうに笑って言うの。

「いいよ、お前はそのままで」

そして、また頭を撫でる。

「つーか、最近のは俺に余裕がなかったな」
「なかったんですか」

まぁ、私でさえもバタバタとしてたんだから高瀬さんなんて、普通に考えてもっともっと忙しい。

パキッと高瀬さんが缶コーヒーのフタを開ける。
私もつられるように、さっきもらったカフェオレの缶に爪をあてた、時だ。

「……週末、何してるんだお前」

高瀬さんが突然聞いてきたので、これまた素直を意識して。
ありのままを答えた。

「へ? 私ですか、最近お恥ずかしながら寝てますかね大体」
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