大嫌いの裏側で恋をする


***



「わーー、もう夕方」

うーん、と。 腕を伸ばしながら石川が呟くように言った。
結局飯食ったりコンビニ寄ったり、寄り道しながら目的地に着くとオレンジの空に、肌寒くなった空気。

何のための今日だよって、陽が暮れ始めると思い出すからガラにもなくちょっとビビる。
(……奥田が)
いち早く俺の気持ちに気がついて、あれやこれやとお節介で。

『お前、いつもみたいにとりあえずホテルに連れ込んだ延長でとか石川さん相手にはやめときなよ』

『彼女、スレてなさそうだし、そもそもお前への評価がクズなんだから』

『運良くセックスに持ち込めても、クズの餌食にされたって認識で終わりそうだよ』

サラサラと爽やかな笑顔を振りまいて、そんなことを言われた。
もんだから、こう、なんだ?
順序ってもんを気にしてたつもりだったけど。
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