大嫌いの裏側で恋をする



***



さすが月末の週初め。
と、いった感じでバタバタとお昼からも時間は過ぎて。
定時を知らせる時計のメロディーがフロアに響いた。

「石川さ~ん、午後の発注書のチェックも終わりましたけど~」
「え、ああ、ありがと間宮さん」

間宮香織から注文書を受け取ろうとした時。

「ねえねえ、間宮さん?」 と、声をかけられた。 もちろん、間宮香織がだ。

「はぁ~い、なんですかぁ?」

振り返った間宮香織を数人の女子社員が囲む。

「ね、高瀬さんの彼女ってやっぱ間宮さんなの?」
「ええ~、なんですかぁ、いきなり~」
「元カノだって噂は流れてたけど、ヨリ戻すためにわざわざ会社にまで追いかけてきたって、ほんと?」
「なんかぁ、言葉にされちゃうと〜あたしめっちゃキモいかも~」

田代さんは定時ぴったりに帰っていったし、営業も誰も戻ってないから人が疎らなのをいいことに追求は続く。

「え!? じゃあ、やっぱ高瀬さんの彼女って」
「間宮さんなの!?」

ジリジリと詰め寄られる間宮香織を見ていると。

「えへへ~、あたしの口からは何も言えないってゆうかぁ~」

くねくねと嬉しそうに曖昧な態度を取る間宮香織。 そこへタイミングよくというか悪くというか。
高瀬さんが外出先から戻ってきてしまう。

< 173 / 332 >

この作品をシェア

pagetop