大嫌いの裏側で恋をする

こういうところが、もう、なんというか!
スラリとした長身、程よく長さのある黒髪、少し長めの前髪をかきあげる仕草なんて、素直にいえばただのイケメンだ。
そして頭の良さ、たまにちょっと優しい。
あと、これ。 これが大きいと思うんだけど。
独身28歳。 是非嫁になりたいと、意気込む同僚たちを何度見てきたか。
……なのに、だ。
なんかもうそういうの全部無駄遣い。
口の悪さと性格の悪さで台無しすぎる。

――そう、その残念な高瀬さんは、私が担当する営業さんで。
肩書きは一応主任てことになってるんだけど。
課長が不在がちな課内では、実際のところ彼の存在はかなり大きいのだ。

まあ、でも。
いくら仕事が出来ようと。
いくらイケメンでモテようとも。

どうやら私とは相性がすこぶる悪いようで!


***


「まーた、朝からやり合ってたねぇ」
「聞こえてました?」
「そりゃ、すぐ後ろにいるんだから」

昼休み。
お弁当の卵焼きを頬張りながら笑うのは、先輩の吉川さんだ。
高瀬さんの同期で、さっぱりとしたショートカットのイメージそのままに、さっぱりとした女の人。
背は高くてスラリとしてるスタイルの良さは身長のない私にとっては羨ましくて仕方ない。
高いヒール頑張って履かなきゃ、ただのちんちくりんなんだもん。
不公平じゃない?
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