大嫌いの裏側で恋をする

そんなモデル体型ショートカットの吉川先輩。
課は違えど同じ室内で働いているので仲良く話してくれる。
他にも様々な課が島分けされて同室にいるわけで、数人の女性が働いているけど、その中で唯一話していて、心から楽しい人。

「顔は、いーんだけどなぁ、顔は」
「高瀬くん?」
「そうです、しかも。 ペアなのに相性悪すぎて毎日憂鬱」

社内では主に、2、3人の営業に1人事務がつくのだけれど、高瀬さんは担当顧客が多く多忙なこともあり事務が専任で1人つく高待遇。
モテる高瀬さんだけど、仕事量が多く逃げ腰になる事務員ばかりの為毎回決定はくじ引きなのだという。

「うーん、仕事抜ければただの女好きなクズなんだけどなぁ」
「前任の方も相当キツくされてたって聞きました」
ぶーぶー言いながらカフェオレを飲んだ私の頭をポンポンして吉川さんは言う。
「アンタ耐えてる方だよ。 あんな口ごたえ出来る子、少なくとも私は初めて見てるから」
「黙ってられないんですよ、心に浮かんだ言葉を飲み込めない」
その性格のせいで、揉めることこそあれど特をしたことなどない。
だったら改めろって話なんだけど、努力しようにも結局は素を出してしまう。

私は、いつまでたっても成長できてない。

「ま、週末なんだしさ彼氏にでも慰めてもらいな」
「あはは、そうですねぇ」

大学の頃から付き合ってる悠介とは、もう3年以上の付き合いになるけど。
まわりが結婚した、子供ができたって賑わう中、特に何の進展もない。
新しい恋をするのは今更面倒だし、仕事だってしんどいし。
進展すればなって思うのは……悠介のことが大好きで一緒にいたくて、結婚したいっていうよりかは。
毎日から逃げ出したいだけのような気がして嫌になる。

幸せって、なんだろう。
結婚したい? 子供が欲しい? わからない。
もっと恋愛にドキドキしてたい?
わからない。
わからないまま、私の毎日は進み続けて。
わからないまま26歳になった。
そのまま、歳を重ねるんだろうか。
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