大嫌いの裏側で恋をする



『やっぱ結婚考えてるのかなって、友達に聞かれちゃいました』

『2年付き合ったとして31。当然考えんじゃないの?とか。そんなもんですか?』

順子や、なっちゃんとの会話で少しだけ不安に思ってしまった心の中を。
多分、私はこんな風に声にしてしまいたかったんだ。
そして、高瀬さんに何かを答えてほしかったんだ。

ああやっぱ、重いかな。

あんなに真っ直ぐに、好きって言ってくれて。
なのにどうしてお花畑になりきれないんだ。


高瀬さんの唇が、身体中に触れる。
私は恥ずかしくなるような、甘く甲高い声をあげて。
なのに、頭の中はモヤモヤしてるなんて。

高瀬さんの未来の、どの辺りにまで私はいるんだろう。

秋田さんの、あの言葉は。
そんな私の心の中を、まるで見透かしてるみたいだった。




『本音でぶつかるのを躊躇するほど好きな相手って疲れないかなぁ?』

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