大嫌いの裏側で恋をする



「石川ちゃんは不器用だよ。そして弱虫で卑屈だし、強がり」

秋田さんの優しく甘い声を聞くたびに、どうしてか。
スッと、胸の奥が引き締まるようにして。
冷静になってく自分がいる。

「そこに愛されていたい自分の維持まで加わったら、ねぇ?こうして仕事に集中できなくなるんだ」

(〝客観的に見られてる〟自分を聞いてるから?)


「知ってるよ、俺ね、そうして精神すり減らして壊れてった女を知ってる」

ふと、唐突に、胸に湧き上がる自分への疑問。

あれ?私どんだけアホ?
不器用で弱虫で卑屈、そして、つよがり。
それを見せたら嫌われると、どうして決めつけて逃げてる?

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